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第2千木園

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第2千木園外観写真

追悼  茶寿(107歳) を全うすること

2017.10.6

当施設は、平成17年12月に特養定員88名、短期入所10名にて開設し、今年(平成29年12月)で12年が経とうとしています。

当施設(特別養護老人ホーム)は、継続的な医療がない場合や要介護3~5から外れない限り、期間の定めなく生活が送ることができます。

従い、入居した方々は最期まで施設で過ごすことが多いのが現状です。こうした環境の中で最期を看取る(看取り介護を行なう)機会があります。

 

 看取り介護とは、

「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること。」(全国老施協「看取り介護実践フォーラム」(平成25 年度)より) とあります。 

々の施設では、現在は浸透しつつある看取り介護について開設当初から取り組みを行っております。

看取り介護を行う際、苦痛の緩和はもちろんですが、いかにその人らしい生活を送っていただくかに視点をあてて介護を行っています。 

看取り介護を行った後、今後に向けて、よりよい介護へ結びつくように振り返りを行っています。

又、委員会を設けており、協議するとともに職員全員を対象として定期的に勉強会を開催しております。 

このような取り組みの中で、看取り状態になってから特別に考えるのではなく、日々の支援が重要であると気づくことができました。 

 

ここで先日、看取りを行った方について、紹介したいと思います。

 対象の男性の方は、開設後まもなくして入居し、最近まで生活を送っていました。

100歳を超えて尚、自力で食事を摂ることや歩行も可能で、元気に生活をされていました。

施設内で行う水墨画クラブや歌謡や舞踊ボランティア訪問時には必ずと言っていいほど参加されており、

時折日用品を買うためにスーパーまで共に出かけることもありました。

また、加湿器など見慣れない物に対して、手足で触れてみるなど好奇心も旺盛でした。

日々の関わりの中から、若い時は鉄道関係の仕事をされていたことや山登りの趣味があったことが分かり、

ご家族の協力も頂き、電車に乗って出かける、近くの山へ出かけるといった支援を行ったこともありました。

普段はポーカーファイスで、その時もポーカーフェイスでしたが、少しばかり喜んでいる様子を見ることができました。 

日々の生活では、毎日の習慣は決まっておりましたが、時折職員に対しておどけることもあり、良い意味でマイペースで淡々と生活を送っており、

こういった方が長生きするのだなと職員一同感じておりました。 

 

そうした中で、今年、男性で県内最高齢(107歳)となりました。

そして、今回の敬老週間に県より記念品が贈呈されるとの連絡が入りました。

この連絡が入る前より徐々に状態が低下し、看取りを行なうこととなりました。

食事も摂れなくなり、起きている時間も少なくなりましたが、話しかけには頷くなど、最期の瞬間まで意思の疎通が図れていました。

日々の介護はもちろんですが、特にコミュニケーション面を重視して取り組みを行いました。

記念品の贈呈まで大丈夫かと心配しておりましたが、無事に頂いたその次の日の夜、静かに旅立たれました。

 

毎回、「思いにそった支援を果たすことができていたのか?」と考えますが

今、こうして振り返ると、特別なことをしたわけではなく、日々の関わりを大切にしていたことを改めて感じることができました。

後も看取りを行なう機会があり、このことを念頭において取り組んでいきたいと考えています。

 

在りし日のお姿

ここに謹んで哀悼の意を表します。